手首まわりの構成部品
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劇中画像からも判別できる通り、第一指付け根のロッドエンド・第二~四指中手骨・可動機構用シリンダー10本の全てが「一枚の板」に接続・溶接されています。しかも裏側には各シリンダーを受けるボールジョイントのボール部品4点および、ワイヤー用のホールカバー部品5点が付きます。アーム全体を通して要となる部品です。『資料』を参考に最終決定した形状はかなりいイビツです。一見シンメトリーですが、実は微妙な曲線と直線で成り立っています。劇中に登場するいくつかの個体ごとにそれぞれ微妙に異なりますが、全体的には同じと言えます。プロップ製作時にはおそらく一枚の手書き図面をもとに複数枚製作したのでしょう。金属板で製作したいところでしたが、加工性を鑑みて樹脂製としました。約3mmほどの厚みがあるので強度的には十分です。
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ボールジョイントのボール側も、劇中のキャプチャ画像と『資料』を参考に製作しました(この部品も含め、手首から下はT2アームと共通のものが多く、T-STUDIO所有の等身大エンドスケルトンやエンドアームも参考にしています)。小ボール3ヶ、大ボール1ヶの構成ですが、大ボールと手首板を接続するドーナツ状の板部品も再現に気を遣いました。これも手首板同様イビツな形状です。イビツながらシンメトリーで、それでいて取付方向に規則性がありません。何か意図があってのことなのか、当時のSW工房のクルー以外に知る由もありません。
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また、手首板とシリンダー類をU字パーツでつなぐ役割を果たす部品(T-STUDIO内通称「ビート板」のちに「かまぼこ」に改称)は、M1スカルキット付属の金属パーツの形状を参考に図面を起こし、金属加工にて原型を製作しました。これは1体あたり28点使用するため、複製とバリ取り・表面処理・塗装のシーンで頭痛の種でした(実際に頭痛の種だらけの今回の作品製作過程で体を壊しました)。このかまぼこには一つ一つ穴あけ作業も必要で、さらに接続時の位置どりもシビアです。方向や角度の間違えるとたちまち可動機構が破綻してしまいます。実際のプロップでは手首板への接続は溶接でした。中手骨付け根と同様、『資料』を参考に溶接跡を再現しています。ちなみにこのかまぼことU字部品の接続ですが、可動機構実現のため全てねじ止めです。プロップに使用されているものを検証すると、M1.6のイモネジがこれに相当することが判ります。ネジの規格に造詣のある方はお解りでしょうが、M1.6を六角レンチで28か所も締める光景は変態そのものです(そもそも使用したこのM1.6×4mmのイモネジ自体、なかなか入手が困難でした。そして「こんな細い変態レンチ、だれがどんな場面で使うんだろう」と工具箱の底に押し込んであったそれを遂に初めて使用するというあの感覚、なんとも言い難い感覚です)。
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REMAINS of the first terminator