ワイヤー制御による可動ギミック

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可動機構を制御しているのはワイヤーです。これはさらにブラッシュアップされたT2エンドアームでも同様です。私のアニマトロニックバストは電子制御ですが、動きの表現の自由度や製作の合理性から映画製作の現場ではこのワイヤー制御が主流だったと言えます(過去形なのは、近年の映画では可動プロップなど皆無に等しく全てCG表現だからです)。ただ、ワイヤーといっても我々が即座にイメージするあの「金属線を編みこんだアレ」そのものではなく、T1エンドアームでは表面にテフロン製チューブを被せたものが(約2mm径)使用されています。ですから一見は金属ワイヤーには見えません。今回の作品では、線径の特定の後にこのテフロンチューブに近い質感を持つものの選定を行いました。最終的に1.3mmの金属ワイヤーに1.5mm線用の収縮チューブを被せて熱を掛けて収縮させてやる方法が質感・太さともに最適と判断ました。「張り具合」から、硬さに関しても実物とほぼ近いものが再現できたのではないかと思います。

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また、それらワイヤーを手首以下で覆っているカバー部分の表現も行いました。T1劇中のいわゆる「深夜の修復」シーンで映るあの部分です。修復シーンでは金属シャフトが使用されておりますが可動プロップではワイヤーに相当します。このことから、劇中世界観ではあれらワイヤーはれっきとしたT-800構成部品なのであり決して特撮用の黒子、つまり「ウルトラマン飛行シーンでうっすら映る吊り上げ用のピアノ線的存在」ではないことが判ります。このことから、可動機構上このカバーが必要だったという訳ではなく、T-800の構成部品の意匠を表現する目的で施されたのでしょう。今回の作品において、ワイヤーと同様に太さと質感を重視して汎用品の中から最適と思われるものを使用しています。黒色の汎用品に、プロップ同様のシルバーの着色を施し、なおかつそのカスレと退色具合、損傷具合を再現しています。

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ターミネーター エンドアーム プロップ レプリカ