金属調塗装
総パーツ数が500点を超えてるため、それぞれにメッキ処理することは現実性に欠けており早々に断念しました。しかし、2012年後半から取り組んだSW工房のペイント技法の研究と、金属調塗装の修練からあるひとつの答えを導き出していました。それは「どうせダメージ表現を施すならば素地はメッキでなくても大丈夫」という見解です。OPプロップレプリカのようにダメージ表現や汚し塗装が一切ないもののような場合には不向きですが、今回の作品の着地点を「サラに迫ったあの右腕」と決めていた私は迷わず「金属調塗装+ダメージペイント」の方法を決めました。
とはいえ、金属独自の輝きを残しつつ汚す必要があるため、そのベースとなる金属調塗装には苦労しました。具体的には金属調塗装の前段階の「表面処理・下地処理」の苦労です。500点超の部品を全て組み上げてから塗るならばまだラクかもしれませんが、今回は可動機構を残すこととパーツ1点1点の独立性を表現したかったことから、組み立てる前に個々の部品の下処理を施さねばならなかったのです。個々の部品の独立性についてですが、もしここをご覧の方でT2エンドアームレプリカの市販品をお持ちの場合はそれをよくご覧下さい。指関節は一体成型で、その上から部品にまたがったメッキ処理が施され、なおかつ低レベルで粗雑な汚しのペイントがなされていることがお解りかと思います(あれだけはどうしても許せない私は、いつか究極のT2エンドアームにも取り組むつもりです)。せっかくプロップ同様のシルエットを再現した部品たちのためにも、それらの独立性を損なわぬよう一点ずつ磨き込んでいきました。こうなるともはや修行僧の世界です。
作品画像をご覧頂くと、部品によって色味や輝きに違いがあることにお気づきでしょう。プロップは基本的にメッキ部分・アルミ素地そのままの部分・細かな汎用品(ステンレス製など)そのままの部分といったように、色味や輝きの違う部品の集合体と言えます。せっかく個々の部品をそれぞれ再現したわけですから、この辺りの塗り分けも慎重に行いました。
REMAINS of the first terminator