ダメージ表現と仕上げ

項目「組み立てに際して」の最後でも述べましたが、組み上がっていざ汚しを入れるまでにかなりの不安がありました。メッキ素体であれば簡単に修正が可能ですが、デリケートな金属調塗装面ではそうもいきません。待ったなしの「一発勝負」を強いられます。小学生時代からのエアブラシ歴があるとはいえ、この手の不安感の中でペイントするのは初めての経験です。ここだけの話、こういった思い切りが必要な場面では軽く一杯やります(笑)。濃度調整をした塗料をエアブラシのカップに入れ、エア圧と噴出量を調整して、スミノフアイスを一本。40分後には見事なまでの「T1終盤モード」のダメージ表現が作品に施されていました。この後の脱力感はかなりのものですが、ペイント作業時の思い切りと集中力は「軽く一杯効果」以外の何物でもありません。でも、よい子はマネしないように。

訳のわからぬ内情吐露はこの辺りにして、汚しペイントの具体的解説です。

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過去このサイト内で幾度となく言及してきましたが、1作目の汚しは主にエアブラシでの焼け焦げ表現のみ、2作目はこれに加えて筆やスポンジや布での手作業による叩き込み、いわゆるウォッシングによるダメージ表現が施されています。事実、T1劇中映像を見ても黒系もしくは茶系によるエアブラシ表現が目につくのみです。ですので、モチーフとした個体と同じ汚し箇所に、同じタッチで塗料を薄く乗せていきました。塗装前にはひと際浮いていたアルミシリンダー部分もこれにより自然に馴染みます。この手のダメージ表現は、ついノリノリであっちこっちやってしまいがちですが、ここは「控えめに且つプロップに忠実に」を肝に銘じての作業です。何事においても「過ぎたるは及ばざるが如し」なのであります。金属独持の輝きを放つ部分と、焼け焦げにより艶を失った部分をうまく表現できたのではないかと思います。

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ペイントにおいて若干悩んだのは「制御ワイヤーの汚し」です。どの資料を見ても、黒なのかシルバーなのか、あるいは自然の汚れなのか何なのか判断つきかねた部分なのです。最後は『資料』を参考に、同じライティング環境を実際に準備して、同じ色味・風合いになるよう手作業で汚しを入れました。

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ターミネーター エンドアーム プロップ レプリカ