組み立てに際して
変態行為とも表現できる「300点超・個々の部品の金属調塗装」を無事乗り越え、遂に組み立て工程です。「さあここからは楽しんで・・・」などという気持ちも束の間、この工程もまた山あり谷ありでした。まず、デリケートな金属調塗装面を保護するために終始ゴム手袋を着用しての作業で、まあなんと作業効率の悪いコト。医療用の比較的タイトな手袋でしたが、やはり素手感覚には敵いません。また可動部分の要となる各指関節のヒンジ部分も、予め「緩め」に製作していたことから全てのヒンジをスペーサー代わりのテープにて調整する必要がありました。「堅すぎず緩すぎず」の微妙な調整作業です。最終的にはガンプラのポリキャップ可動部分のごときスムースさ(堅さ)を全ての箇所で実現しています(ちなみに、指一本を組み立てるのに1時間を要しています)。
各指が組み終わり、いざ手首板への接着ですがこれもまた神経を遣いました。中手骨の解説項でも述べましたが、この取付角度を誤ると作品全体のイメージが大きく変わるどころか、下手をすれば「なんちゃってT1エンドアーム」のレベルまで成り下がる危険性を孕んでいます。この工程を慎重にかつ正確に行うべく、私はこの作業の困難さを予め想定して事前に「簡易組み立て用治具」つまるところの「専用土台」を準備しておりました。手首板裏側には既にボールジョイント大小が固定されているため、この治具で安定性を確保したのです。
中手骨と手首板の接着面にはプロップと同様の溶接跡を施してあります。美しい接着面をそのまま活かして仕上げてもよかったし、実際キレイに仕上げたい欲望が強かったのですがここはやはりプロップレプリカという事でグッと我慢し「あまり美しくない接合部」の風合いを表現してあります。
組み立て工程全般を通して注意した点が一つ。それは「完成後の強度の確保」です。いかにもモロそうな部品の集合体であるこのエンドアーム。完成後の、例えば写真撮影の際などにポロポロと部品が落っこちたら泣けますし何より興ざめです。それだけは絶対に避けたかった私は全ての接着部という接着部に細心の注意を払いました、複数のマテリアルが混在する部品群であり、また何層にも及ぶ塗膜があるため使用する接着剤の選定や塗膜の除去作業に神経を使っています。その甲斐あってか、完成~撮影を経て、展示ケースに収まった今まで「たった一つも」部品の脱落はありませんでした。撮影中などは、何かと指の角度を変えたり作品全体の向きを変えたりと要注意シーンの連続でしたが、問題無しです。
この写真は、最終アッセンブリー直前のパーツたちです。ダメージペイントを施すのが惜しくなるほどの輝きと風合いを放っています。「もし汚しに失敗したら」という不安から、この状態で何枚もシャッターを切りました。
REMAINS of the first terminator