ロッドエンド
OPプロップにおける特徴的な部品のひとつがこのロッドエンドです。前面4箇所、背面に6箇所の計10個使用されています。まずは市販品の流用にまず間違いがないこの部品の特定にかかりました。
資料をよく見ると、型番や仕様・メーカーロゴと思しき印刷が散見されます。型番と思われる「RK2」や仕様を表す「NO LUBE」の表記を元にまずはネット上で調べましたがダメ。次にこの類のパーツを扱うスペシャリストに問い合わせてもダメ。本国アメリカで「ENDOBUILDERS CLUB」を主宰するONEYE氏にルートで関係各所に聞いてもらったがやはり情報は得られませんでした。
ONEYE氏ルートの提供情報では上記写真で使用されたロッドエンドのものばかりで、「コレジャナイ」状態でフラストレーションが溜まりました。私の知る限りT2以降の全身エンドスケルトンでは確かにこのタイプが使用さていますが、OPプロップのものとは違うのです。
不本意ながらも最終的に「フルスクラッチだな」という結論を出した私は、資料から形状とサイズを割り出して製作に着手しました。この手の機械加工量産部品はエッジとラインがとてもシャープで、表面の平滑さが特徴的です、ポリパテ削り出しなどの手作業で再現するのはまず不可能です。そこで私はシンメトリーな美しい原型を作るべく、割り出した数値を元に3次元CADで図面を起こし、3Dプリンターで出力することにしました。ピロボール部分も同様にサイズ・形状を割り出して製作しました。ですので実際に可動します。
私が導入している3Dプリンターは比較的安価なもので、試作品や形状確認を主目的としたもので、決して「出力してハイ終わり」ではありません。3Dプリンター出力物の多くがそうであるように、数ミクロンピッチで樹脂の層を重ねていくため表面は平滑ではなく、改めて表面処理を施す必要があります。しかし、形状はしっかり出ているので一から手作業でフルスクラッチする事を考えれば大したことではありません。かくして、3D出力原型をレジンに置き換え、10組のロッドエンドとピロボールの表面を地道に研磨して仕上げました。
他のシリンダー類などはアルミかステンレスであるのに対し、このロッドエンドはそれらとは異なる輝きを放っています。チタン調を表現するの顔料を丁寧にエアブラシで施して表現してみました。ピロボール部分はグロスのブラック、天面には金属マテリアル汎用品を使用しています(“NO LUBE”や“RK2”の印刷はさすがにオミットしました。そこまでやったら世界一の変態襲名です)
Making of T2:OP Prop Replica