スタンド&ベース
最終仕様の確定まで30日以上を費やした部分です。それだけ作品の出来を左右する重要な2点です(最終的に出来上がった作品は、確かにOPプロップに近いと言えますが、やはり細かい部分で納得がいかないのはここの仕様決定に甘さがあったためです。今後の課題です)。
まずはスタンドについて。この部品は本物同様にスチール素材を溶接して焼き付け黒塗装で仕上げました。作品に関わってくる要素は「各シリンダ類の長さと取付角度」であり、つまりそれは「作品のクオリティそのもの」を大きく左右します。しばらくは仕様確定に難航しましたが、この写真のように「左右シリンダ着地点の高さが違う」という点を発見してから事態は好転します。やはりムービープロップだけあって、いろいろな部分が常識から外れています。OPプロップが全体的に微妙なバランスで、シンメトリーではなくむしろ各部破綻しているのはこういった箇所の粗雑さ(いい意味で)に起因するのでしょう。この左右の高さの違いをデータ上で反映して試作を重ね、最終的にこれだというところに着地しました。
このスタンドについて資料をみると、背面のロッドエンドの固定位置(固定方法)に特徴があることに気付きます。本物は雄ネジ仕様のロッドエンドが大胆にもスタンドに「溶接」されています。私の作品では、この方法は採らずに、スタンドに凸部を設け、そこにパイプとロッドエンドを差し込んで固定することとしました(雄ネジ仕様のロッドエンドが調達できれば本物と同じく溶接していたかもしれません)。この部分の仕様についても心残りではあります。
ベース(台座)についても苦労しました。材質は見るからにステンレスでヘアライン仕上げ(クリアコートもされているかも)。しかしこれが何かの流用なのかワンオフものなのか判断がつかず、またもや迷走することとなります。いずれにせよ、図面を引いて製作する方法以外にないため形状と寸法の割り出しにかかりました。
T展画像を見ると、このベースのイビツな形状がわかります。シンメトリーではありません(この時点で汎用品の流用ではないことが確定)。前側左右のカーブが左右非対称です。資料を元に起こした図面2種ですが、普通に考えて仕上がりを美しくするならばシンメトリーのA案、より本物に近づけるにはB案の採用となります。シンメトリーか否かはあまり大きな問題ではなくそれは単なる気持ちの問題で、「究極のプロップレプリカ」を標榜するに当たっては迷いなくB案の採用と相成りました。実はB案の特徴は前側カーブの左右非対称だけでなく、「ロッドエンドとスタンドチューブを固定したスタンド上部右側が台座からはみ出る」という仕様です。これが顕著にわかる資料がありますが、公開できないため割愛しますが、よく見ればT展画像からもこの事実はわかります。
ステンレスでの製作はコスト面で現実性が無く(驚くほど高価)アクリル加工業者にデータを入れ製作してもらいました。後々の穴あけ等の加工性を考えてレジンに置き換えています。ロッドエンドでもそうでしたが本物(ステンレス)を調達できない以上は、不本意ながら塗装による金属表現です。ヘアラインも斜め方向に入れてあります。
Making of T2:OP Prop Replica