ペイント
OPプロップにおけるペイントの特徴はいくつかあります。まず、「過度なスミ入れは施されていない」という点です。他のエンドスケルトンプロップは、パネルラインのモールドにこれでもかというくらいスミが入れられています。しかしOPプロップは本当に控えめで、スミが入っていないラインもあります。あったとしても真っ黒ではなくグレー系です。ですから今回の作品でもスミ入れ作業は最小限としています。また汚しについても同様で、ポイントポイントでアクセントのように黒系・茶色系が施されている程度です。口元シリンダー周囲や眼球周囲とゴチャメカ周囲はフラットベースを多めに使った黒に近いグレーを、ロッドエンドやシリンダーの付け根付近に茶色系の汚しが入っています。
歯と歯の間及び付け根部分は割合濃いめのブラックが施されていますので、今回の作品でも踏襲しています。前掛けは何故か大胆に汚されている印象なので、そちらも表現しています。
余談ですが、OPプロップをT展で見たときの第一印象は「汚いなぁ」でした。これはペイントや汚し云々ではなく保存状態が悪い、具体的には「手の油と指紋がそのままだな」という感じでした。未公開資料によると、どうやらとあるオフィスの誰でも手が届く場所に、特に展示ケースもない状態で長期間置かれていたようです。埃は被るだろうし、心無い人がベタベタと触ったのだと思います。T展でお公開のために輸送される際も「これらの埃や指紋も重要な歴史的資料」と考えたのかどうかは知りませんが、おそらく特に拭き取ったりすることなくそのまま展示したのだと思います。だからと言って今回の作品で私の指紋を付ける訳にもいかないので、製作過程で付着する自然な汚れに関して特に拭き取ることはしていません。
Making of T2:OP Prop Replica