ゴチャメカ
エンドスケルトンの側頭部パーツでも検証しているように、このゴチャメカも実に奥が深い存在です。市販品スカルやM1キットで採用されている形状がいわゆる「ゴチャメカのスタンダード」ですが、OPプロップではやや様相が異なります。結論から言えば「ゴチャゴチャとプラモデルのパーツを付ける前のあっさりタイプ」なのがOPプロップのゴチャメカです。
タミヤのラジコン用ギアボックス(ダイキャスト製)を入手し、まずはこれをレジンに置き換えます。置き換えたものを実際に頭部に当てがいながら整形していきます。大枠に関しては左右ともこれでOKです。
右側詳細解説です。大きな特徴は2点。トグルスイッチの存在と、謎の同心円状モールド部品+マイナスビス固定です。前者はおそらく撮影時の電飾のオンオフに使用されたもので、トグルスイッチにしては異例の「横方向切替え」の向きで固定されています。T展の頃にはおそらく電飾機能は死んでいてたのでしょう。生きていたら発光させていたはずです(もしかしたら生きていたけれども電池が無く、電池の入れ替えをするような度胸やテクニックや権利を主催者側が持ち合わせていなかたのかも知れません。真相は闇の中です)。
さすがにスイッチの型番や仕様の特定は困難でしたので、同サイズ同形状の汎用品を使用しています。もちろん今回の作品でも横方向切替の向きで取付けています。今回の私の作品は眼球が発光しますが、このスイッチはあくまでダミーで、実際の切り替えは外側に伸ばしたオンオフユニットで制御します。作品をケース内で展示させた場合、都度ケースを開けてここのスイッチをカチカチやるのは合理的ではないと考えました。
謎の同心円状モールド部品は、おそらく何かの流用だろうとわかりながらも特定できなかったため3Dプリンターで原型を出力します。何度か試作を繰り返し最終的な出力物を例によってレジン置き換え・表面処理で仕上げます。これを固定しているマイナスヘッドのビスは、90年代前半と2009年T展時点で向きが異なっており、T展仕様で行くと決めた今回の作品は「上側はおよそ12時の方向・下側は1時の方向」で固定しています(ちなみに90年代前半の資料写真では上下とも3時の方向でした。誰が何の目的で回転させたのやら)。
左側は至ってシンプルで、ギアボックスの穴部分を埋める円形パーツが埋め込まれているのみです。こちらも3Dプリンター出力原型を元に仕上げました。この部品の「ザグリ痕」状のくぼみ位置も時代により変化しています。ただ、私は取り付け時に間違って90年代仕様の位置で固定してしまいました。ザグリ痕状モールドはこの後整形して仕上げています。
塗装・仮組状態の左右ゴチャメカOPプロップバージョンです。この時点でマイナスビス向きとザグリ痕位置は90年代仕様です。
なお、ゴチャメカと頭蓋骨への接続は未公開資料によると「かなりいい加減」な方法で行われています。パテでえいやと無理やり固定してあり、隙間から頭蓋骨内部が見えます。今回の作品では、パテ作戦は採用せず接着のみで、ゆえに隙間に関しては本物よりも大きいです。ライトを当てれば内部の電飾配線が丸見えです。とにかく、いくら忠実に再現と言えどパテでえいやとはどうしてもできませんでした。細かなパテ痕まではさすがに再現できないのです
Making of T2:OP Prop Replica