はじめに

ここから以下に使用している画像は

  1. 作品画像
  2. T-STUDIOによる画像や図面画像
  3. Platypus氏提供画像
  4. ネット上にある参考資料画像

の4種類となります。

3と4に関しては画像左上にその旨表記してあります。また通称「炎のスカル」といわれるT2オープニングプロップについては、便宜上「OPプロップ」と表記させて頂きます。

T展にて展示されたターミネーター2のプロップ(エンドスカル)
T展でも展示されたT2冒頭のシーンで使われたプロップ
T展にて展示されたターミネーター2のプロップ(エンドスカル)
ネットでよく見かけるターミネーター2のプロップ

2009年、私がT展に出向いた大きな理由は、実はこのOPプロップのためではありませんでした。当時の私の興味は「エンドーアーム」であり、スタンウインストンスタジオからやってきた等身大エンドスケルトンの右腕の細部を撮影するというのがその主目的だったのです。もちろん事前の情報でOPプロップが展示されていることは知っていましたが、「さほど興味がなかった」というのが実情です(今となっては大きな後悔です)。

このOPプロップに対して興味が湧き始めたのは、アニマトロニックバスト製作時に取り組んだ「プロップの忠実な再現」の過程での中でした。「この部品は何を流用しているのかな」、「この部品の材質は何かな」などとあちこち資料をかき集めて検証しているうちに、「このOPプロップだけは別格で異質だな」と感じたのです。2012年5月にアニマトロニックバストを発表し、一段落ついた時点で私はOPプロップの決定版レプリカの製作に動き出しました。

いきなりつまづいたのは「資料が足りない」という点でした。私がT展で撮影した写真、またネット上に出回るT展写真だけでは製作は困難だったのです。具体的には「背面の資料(情報)」が無かったのです。確かに既存資料のみで背面を想像して製作することはできましたが、決定版プロップレプリカと呼ぶにはやや説得力に欠け、何より私自身が「そんなんだったら作らない」という信念ですので、計画はいきなり暗礁に乗り上げました。そんなある日、「ある人物がOPプロップに関する決定的な資料を持っている」との情報を掴み、私は早速アクセスを試みました。いろいろな紆余曲折がありながらも「ネット上で決して公開しない」ことを理由に、その驚くべき資料が手に入ったのです(このような理由からそれら決定的な資料画像については公開を控えます)。

既存資料でおおよそ前側の製作プランが整っていましたので、私は早速その資料を元に背面の検証に入りました。その写真はおそらく90年代前半にある場所で撮影されたもので、T展のようなクリプトン照明下のものではなく、蛍光灯下で、しかもストロボ撮影だったため資料としてはこの上ないクオリティでした。資料にするにはT展のようなムーディーなものではなく、リアルに各部詳細を写し撮られたものが最適です(状況が許せば、この手の物はストロボ発光で取りましょう。三脚立てずとも手持ちでいけますので)。

いよいよ背面資料が揃った時点で水を得た魚のごとく製作に入りました。まずゴチャゴチャと組み付いたパーツ類のマテリアル選定から始まり、既存品の流用と思われる部品と同じものの入手、あるいは入手困難なものであればサイズ・形状を資料から割り出してフルスクラッチという具合に、1箇所ずつ懸案をクリアしていきました。困ったのは資料写真の90年代前半とT展の2009年の間に、細かな部分で変更(変化)があった点でした。「さてどっちの仕様を参考にしようか」と一瞬悩みましたが、T展バージョンでいくこととし、実際私も製作中の呼称は「T展」としていました(完成に近づいた頃には事あるごとに「うーんT展」などとウットリ呟いたりしていましたので・・・)。

ところで、「T展に展示されていた個体は実際に映画で使用されたオープニングスカルとは別物」という説がございます。T展での個体と、以前にオークションにかけられていたもう一つの個体(上記4枚目の画像)の他に、「ゴールド仕様」の個体がある(あった)という説です。映画のシーンを注意深く見ると、なるほど動力パイプの位置や首の位置が異なることがわかります。これがゴールドの個体なのか、はたまた撮影後に関係者の手によってT展仕様に改修されたのか。確かにT展の個体は映画撮影用にしては細部(見えない部分)に拘ってあるし、長期間展示前提のような台座やスタンドが奢られています(私の中ではゴールドの別個体は存在せず、あくまでT展での個体が実使用されたのだと信じています。実際に世間ではこの説がまかり通っているのですから)。

かくして完成したOPプロップレプリカ、多数の資料・検証画像とともに各部の解説を進めていきたいと思います。

※なお、解説・検証画像の一部には東京都・Platypus氏より提供して頂いたT展画像を使用させて頂きました。当日撮影された全ての写真を「何かの参考にあるのであれば」と快くご提供下さったPlatypus氏には心より感謝致します。