#015 : M1号社製エンドスケルトン・ヘッドについて

キットの構成部品:ソフトビニール・ステンレス・透明樹脂によるハイブリッドキットです

キットの構成部品:ソフトビニール・ステンレス・透明樹脂によるハイブリッドキットです

箱の側面にはキャメロン監督の写真と推薦文があります

箱の側面にはキャメロン監督の写真と推薦文があります

このキットに関し、まずは2003年に刊行された「SUPER MOVIE TOY」誌に掲載された原型製作者・高橋清二氏本人による批評を転載しておきます。

『西村祐次氏が主宰するM1号から発売されたソフビキット。そのこだわりは半端ではなく、原型は撮影用ヘッドからの型抜き、眼球は金型を使ってインジェクション赤色透明パーツとし、さらに口を可動させる為にジョイント付きの金属削り出しシリンダーまで付属する豪華キットであった。なお、原型のリファインは私自身が担当している。ヘッドのオリジナル原型は粘土で作られているようで、ヘラの跡までくっきりと残っていた記憶がある。頭部側面の内部パーツは粘土造形”そのまま”と言う状態のため”使えない”と判断し、原型を採寸しながら一から作り起こした。』 (メディアワークス刊「SUPER MOVIE TOY」[ISBN-8402-2588-5] p.41より引用)

側頭部パーツのアップ写真。エッジが効いていて美しいです

側頭部パーツのアップ写真。エッジが効いていて美しいです

既に絶版のため、現在では入手がとても困難なキットです

既に絶版のため、現在では入手がとても困難なキットです

ステンレスの削り出しによるシリンダー部品。

ステンレスの削り出しによるシリンダー部品。

T-STUDIOで所有のキット。この他、製作依頼のために海外から送られてきたものも数セットあります

T-STUDIOで所有のキット。この他、製作依頼のために海外から送られてきたものも数セットあります

原型製作者、高橋氏本人がこう評する通り、至れり尽くせりな内容の「決定版」的キットと表現できます。後年、日米各社から発売されることになるエンドスカルも、もちろんプロップに基づいて製作されてはいますが、このキットは「プロップの元となるオリジナル原型」をそのまま型取りしているため各部のモールド(彫刻)はそれらと比較にならぬほどシャープで美しいです。また付属するステンレス削り出しのシリンダー部品の出来も秀逸で、作り方によっては下顎の開閉動作に連動させることも可能でしょう。

「造形が美しいこと」、「プロップに忠実であること」に加え、中空成形である点(頭部を可動させるためのメカを仕込むためのスペースが必要)から、このキットを使用することに決定しました。

なお、T-STUDIOにアニマトロニック・バストの製作依頼をする場合には、このキットをご用意頂く必要があります。私自身このキットの未組み立て状態のものを10セットほど所有しておりますが、できるだけご自身でご用意頂けると助かります。

1作目のエンドスカルの型から抜かれた第一原型

1作目のエンドスカルの型から抜かれた第一原型

モデラーの高橋氏が細部をリファインした原型

モデラーの高橋氏が細部をリファインした原型

M1号代表・西村祐次氏から提供してもらった貴重な写真。1作目のエンドスカルの型から抜かれた第一原型(左)をもとに、モデラーの高橋氏が細部をリファイン(右)。おそらく「この世の中に存在する最も美しいエンドスカル」と表現できます。詳細についてはインタビューをご覧下さい。