#008 : 側頭部の内部メカについて
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他社製品Aの側頭部
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他社製品Bの側頭部
エンドスカルの造型上の大きな特徴の一つに、側頭部にギッシリと埋め込まれたメカ群があります。どの部品がどのように機能するのかは全く想像もつきませんが、とにかくこの部分の造型はとても特徴的です。資料によると、日本製の戦車のプラモデルの部品を使用したと言われています(やはりこの部分も、1作目と2作目で微妙に形状が違うプロップが存在するようです)。各社から販売されている等身大エンドスカルのバストは、プロップからの型取りによる造型のため細部の形状が破綻しており、すっかりエッジを失っている部分もあります。もしあなたがどこかのメーカーの等身大バストを所有されているのであれは、ぜひじっくりとこの部分を見てみてください。造型上の破綻を隠すように、黒色で汚しのペイントされていることがおわかりでしょう。Animatronic Bustを製作するにあたってM1号社製キットを使用したのは、この部分の造型がとても美しく、また各部のエッジがしっかりしているからです。ですから、Animatronic Bustのペイントをする際、必要以上に汚して誤魔化す必要は全くありませんでした。このキットの原型製作者がプロップを元にこの部分を1から新規に造り起こしたというだけあって、「プロップ以上にプロップらしく仕上がっている」と言えます。この辺りの話は、エピソードとして非常に興味深いので機会があれば原型製作者の高橋氏本人に一度直接インタビューしてみたいと思います。
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M1号社製キットに付属の美しいパーツ
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Animatronic Bust ver.1.2の側頭部
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高山・留之助商店に展示されているプロップ
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高山・留之助商店に展示されているプロップ
以下は、北米にて「Endo Builders Club」を主宰するONEYE氏ルートからの提供情報を元にした検証です。
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TAMIYA ワーゲンオフローダー ギヤボックス
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TAMIYA ワーゲンオフローダー ギヤボックス
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TAMIYA 1/10電動RCカーシリーズNo.452 ワーゲンオフローダー
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TAMIYA ワーゲンオフローダー ギヤボックス(組立説明書より)
左右ともメカのベースとなる部分に用いられているのは「TAMIYA 1/10電動RCカーシリーズNo.452 ワーゲンオフローダー」のダイキャスト製ギヤボックスです。本来ギヤが組み込まれて「内側になる部分」を表面として使用されています。実はこのキット、再販に再販を重ねたロングセラー品で現在でも入手可能です。ただ、ここをご覧の皆様でこの部品が欲しいという場合、そのためにキットを購入するのは合理的ではありません。タミヤ模型さんには迷惑極まりない話ではありますが、もしこの部品を調達するような場合はぜひパーツ単体でのご注文をお薦めします。もちろん、割高ではありますがキットごと購入していろいろ無駄にするよりも遥かに合理的で経済的、また環境にも優しいと言えます。T-STUDIOでももちろんパーツセンターから取り寄せています(この辺のパーツ単品調達のノウハウは敢えて述べませんが、少年時代に破損・欠損部品を模型メーカーにリクエストした経験があるような場合は強いです。しかも今はネット時代、キットを持っていなくても部品番号は容易に調べることができます)。
再販を重ねるごとにあらゆる箇所がリニューアル(新規金型)されるのは世の常で、当該パーツも仕様変更されています。1984公開のT1ですが、そのエンドスカルが製作されたのはさらに遡って1982-83年で、その際に流用されたキットはおそらく初版と思われます。T-STUDIOが把握する限り、この初版仕様から現行仕様に至るまで少なくとも3度は仕様が変更されています。真のマニアを語るのであれば、初版のキットを手に入れたいところではあります。
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BANDAI 1/48 精密電撃機甲師団シリーズ ドイツ88mm高射砲(FLAK18)
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BANDAI 1/48 FLAK18 完成図(組立説明書より)
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BANDAI FLAK18 パーツ
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BANDAI FLAK18 パーツ
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BANDAI FLAK18 パーツ
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BANDAI FLAK18 パーツ
続いてはこちら、「バンダイ製 1/48 精密電撃機甲師団シリーズ ドイツ88mm高射砲(FLAK18)」です。やはりこちらも20年前の国産キットです。旧バンダイのロゴマークが味わい深いです。ミリタリースケールモデルの世界に於いて、このキットの評価や価値については残念ながら知識が乏しいのですが、オークションに出品されると定価以上で落札されています。パーツ画像の赤丸で示した部品が流用されています。そのまま貼り付けたものや、やや加工して付けられているものもあります。
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HASEGAWA 1/8空冷回転エンジン(フォッカーDr.1搭載エンジン)ルローヌ110馬力エンジン(ドイツバージョン オーバーウルゼルUr.II)
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HASEGAWA 1/8 ルローヌ110馬力エンジン 完成図(組立説明書より)
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HASEGAWA 1/8 ルローヌ110馬力エンジン パーツ
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ルローヌエンジンのプラモデルパーツは等身大のエンドスケルトンにも使用されています。(留之助商店より)
最後に、「ハセガワ製 1/8空冷回転エンジン(フォッカーDr.1搭載エンジン)ルローヌ110馬力エンジン(ドイツバージョン オーバーウルゼルUr.II)」です。フランスで開発された「ル ローヌ(ル ローン)110馬力エンジン」の高性能ぶりに着目したドイツ軍がそっくりそコピーし、「オーバーウルゼルUr.II」として量産。国内軍機の多くに採用されたという歴史があります。この、おそらくマニア垂涎(であろう)のエンジン単体ディスプレイモデルのパーツの一部がエンドスケルトン頭部に奢られています。具体的には、このエンジンの「シリンダーヘッド」の部品が流用されており、またこの部品と「マウンティングプレート」とを組み合わせて胸郭にも使用されています(細かいコトですが、実は胸郭上端裏側にも使用されています。あるプロップを生で見た際に発見した事実です)。このキット1つの中に、当該シリンダーヘッド部品は9つ入っており、エンドスケルトンに複数を使用されているというのもなるほど頷けます。やはりこちらもたまにヤフオクで見かけます。
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研究と考察
関係者へのインタビュー