#006 : 後頭部のシリンダーについて

この部分も眼球同様に、シーンによって様々な形状と構造をしています。頭蓋骨との接続部分にはボールジョイント方式とユニヴァーサルジョイント方式の2種が存在するようです。

T2冒頭のプロップ[T展にて]
T2冒頭のプロップ[T展にて]

2009年に東京で開催されたターミネーターの展覧会では、あの有名な2作目冒頭の「炎の中からこちらを睨みつけるエンドスケルトン」のシーンに使用された貴重なプロップが展示されていましたが、これにはユニヴァーサルジョイントが使用されていました。

各社のエンドスカルのプロップ
エンドスカルのプロップレプリカ(サイドショウ)

各社の等身大バストの製品を見ると、コスト的な問題なのかユニヴァーサルジョイント方式は採用されていません。

1作目の劇中ではボールジョイント方式が採用されています。
T1版T-800のボールジョイントその2

1作目の劇中ではボールジョイント方式が採用されています。

T2公開前の有名なトレーラー。
T2公開前の有名なトレーラー。

T2公開前の有名なトレーラー。これはスタン・ウインストンスタジオにて1作目のプロップ2体を使用して撮影されたと言われています。
よく見ると、製造ラインを流れるT-800には2種類の方式が採用されていることがわかります。つまり、1作目の時点でユニヴァーサルジョイント方式のプロップが存在していたと推測できます。

「留之助商店」に展示されているプロップにはユニヴァーサルジョイント方式が採用されていました。

「留之助商店」に展示されているプロップにはユニヴァーサルジョイント方式が採用されていました。

これは1986年頃に撮影されたもの。スタンウインストンスタジオの応接室に展示されていた1作目のプロップ。ボールジョイント方式であることが判ります。("宇宙船"より)

これは1986年頃に撮影されたもの。スタンウインストンスタジオの応接室に展示されていた1作目のプロップ。ボールジョイント方式であることが判ります。(“宇宙船”より)

Animatronic Bust製作に当たっては、真鍮削り出しにて新規に製作しました。

Animatronic Bust製作に当たっては、真鍮削り出しにて新規に製作しました。

頭部の動きに連動して、回転・伸縮するようにしています。

眼球同様に、やはりこの部分にも「正解」はありません。T-STUDIOのアニマトロニック・バストには、1作目の工場内でのT-800に準拠してボールジョイント方式を採用しています。私は、頭部の動きに連動して、このシリンダーもぜひ伸縮・可動させたかったので、構成部品をそれぞれ図面を起こし、真鍮を削り出して製作しました。このサイト内で紹介している動画でも、この部分の伸縮・可動の様子が少しは伝わるかと思いますが、製作者としては是非肉眼で見て頂きたい部分です。初めて動作テストをした際に、脳内で思い描いていた通りの動きをしてくれた時はとてもエキサイトしたことを思い出します。