T-800 Static model version T2
アニマトロニックバスト発表後、世界中のマニアからは個人レベルでは初となる「動くT-800」を完成させたことに対する賞賛の声を頂戴する一方で、「M1キットを売ってくれ」とか、「アニマトロニックバストには手が出ないから、動かない版でプロップに忠実に仕上げてくれ」などのリクエストも頂戴してきました。アニマトロニックに拘ってきた私からすると、なんとも複雑な心境ではありましたが、ある日に「アイコン版スカル」の特別仕様モデルを目にした時に気持ちの整理がつきました。その特別仕様モデルは日本国内のコレクターの方が所有しているもので、なんでも「アイコンの社長がスタンの工房に持ち込んでペイントさせた」という逸品で、プロップ同様の汚し、いわゆる「金属の質感を残しながらそれらしく汚す」という表現が施されていたのです。留之助商店のエンドスケルトン、また国内有数のコレクターが所有するT2プロップなど、スタンウインストンスタジオの神々しいまでの仕事を直接目で見てきた私としては、その特別仕様版の存在は決定打となりました。SIDESHOW版やハリコレ版にもバトルダメージ製品がありますが、それらはやはり量産品ゆえの粗さが目立ち、バトルダメージというよりはただの「汚し」でしかありません。その辺りも既に見解を述べてきましたが結局のところ市販品(量産品)は「凄み」と言う点ではプロップには到底叶わないのです。私は一旦アニマトロニックから離れ、「プロップの持つ神々しさを何とかこの手で表現したい」という衝動に駆られ、スタン工房の汚し表現の研究を始めました。
素体はもちろんM1号キット(M1号キットの素晴らしさについては既に何度も語ってきた通りです)を使用し、アニマトロニックバスト製作の際に徹底研究した各部の改造に加えて今回はT2版エンドスケルトンに仕上げ、それをキャンバスとして「スタン工房の汚し表現」を施しました。アニマトロニックバスト用にストックしてあった部品を随所に使用したことから、後頭部シリンダーやオイルライン(ステンレスホース)部分は可動仕様です。また、従来アニマトロニックバストでは家庭用電源を使用していましたが、今回はスタティック版ということで展示性を重視して9V電池によるスイッチユニットを新造して眼球を発光させています。