アルゴ1/4最終章
2018.01.26
過去T-STUDIOに対してアルゴノーツ1/4エンドスケルトン製作に関するお問い合わせを下さった方は数知れず、その中で実際に用命下さった方はたったの二名。理由は明白で「コストがかかりすぎる」からに他なりません。このキットの特異なパーツ構成や各所に補強を要する材質特性からして、おそらく一般的な製作代行業者さんでもン十万円の世界の代物です。
T-STUDIOの場合、改造や補強をしないいわゆる「ストレート組み(素組み)」は基本的にお断りしています。ただ組むだけでよければ、それを生業にしている方へ頼んでいただいたほうが割安ですし、何より僕も榎本君もこの変態キットを「素組み」で終わらせることが性に合わないという理由もあります。上の画像のように、キット付属のホワイトメタル製T2ハンドをわざわざ別素材でT1ハンド仕様に作り替えたり…
足首関節には実際のT1プロップ同様の可動機構を踏襲してみたり、といった工作をせずにはいられないのです。スケールこそ1/4ですが、とにかくエンドスケルトンの全パーツがバラバラの状態でキット化されているからには、色々手を加えることこそがこの変態キットに対する礼儀・マナー・エチケットだと考えているのです。
費用を惜しまず、トコトンやろうと思えばこのように全てのパイピングをプロップ準拠で再現できますし、剛性面で難ありと見ればクレジット表記そのものが入ったままのソフビパーツもこのようにレジンに置換してしまいます(この時点でヤフオクには出品できない)。
頼まれてもいないのに、T1撮影時に背部に差し込まれていた固定パーツも新造してしまうのです(炎から立ち上がるシーンや、上半身だけで這いずり回るシーンで操演用シャフトがこれに刺さっていた)。
依頼案件でないため、このようにコスト度外視で思い切りやり込んだ「アルゴノーツ1/4エンドキット改・T1版エンドスケルトン」は年月を追うごとに細部が熟成されていき、最終的に「これはペイントせずにこのままT-STUDIOにて永久保存しよう」との結論をみました。
一方で2017年秋、私はこの変態キットの仕掛け人の一人である高橋清二大先生に「例のヘッド、また見たいのでぜひイベントに持参下さい」とお願いし、この写真の通りまたまた拝ませていただくことができたのですが、興奮が最高潮に達した僕は決死の覚悟で「これ…このアタマ…僕に貸してください!」と懇願。「これを据えるに相応しい変態ボディがいまT-STUDIOにあります。このアタマを複製させていただき、その変態ボディに合体させたい!」と直球勝負!ポリパテブロック(無の状態)から形を削り出していき、盛っては削り、そしてまた盛って…という究極の作品を「貸してくれ」だの「複製させろ」だの、業界の常識からするとなんと非常識なこの僕の発言。完全に「ダメ元」でのリクエストです。
でもそのヘッドは今こうしてT-STUDIOの僕の作業デスクに佇んでいます。これが答えであり、これが高橋先生の優しさと男気です。高橋さんはこれを僕に託す際に言いました。“そのボディにこのアタマが合体したところを僕も見てみたいですから”と!
左がキット付属の純正のヘッド(小坂勝先生原型)と、キットには採用されずにお蔵入りとなった高橋版ヘッド。好みは各人いろいろ有りましょうが、僕は右の高橋ヘッドを愛して止みません。実際にボディに当てがったところが見たいって?焦らすのが得意な僕は、そう簡単には見せませんよ…(この記事の一枚目の画像をもう一度見てみよう!)。
電飾を施してペイントすれば完成なのに、そうしないのにはワケがあります。細部の究極の造り込みは未塗装状態でこそ最高に味わえるし、各種複合素材の色味が織りなす狂気の様子をいつまでも手元に置いて眺めていたい…。そういう理由です。繰り返しますが、各部を別素材に置き換えたこの作品は発売元の権利を侵すので絶対にヤフオクなどには出せない代物です。
究極の1/4エンドスケルトン、これにて完結!
すみません。
いろいろ書きたい気持ちはあるんですが、
言葉になりません。
ただ一言。
全体像をじっくり眺めたい・・・
それしか出てきません。
溜め息とともに・・・