類は友を「喚ぶ」のか 〜後編〜
2017.06.26
後編でご紹介するのは、愛知県在住のTさん。あの「OPプロップレプリカ眼球点発光仕様」のオークション終了後の総括のコラムを見たというTさんは私に1通のメールを下さいました。その内容は、落札者さんと同様に英語版時代からT-STUDIOを追い続けていたということ、M1号キットが手元にあるのでなんとか製作依頼という形で作品をお願いできないかということ、等々でした。昔から応援して下さっているというサポーター様のご希望、お断りする理由はありません。
「同じ愛知県、もしよろしければ工房をご案内しますよ」という私の呼びかけに、Tさんはとある日曜の午後にご来訪下さいました。そして、おもむろにバッグから出てきたのが一枚目の画像の「義歯」です。現役の歯科技工士であるTさん。最近、愛知県内にご自身のラボを開業されたとのこと。エンドスケルトンといえば歯、歯といえばこれ。そんな貴重な資料を元に、時間が過ぎるのも忘れてアツい義歯談義が行われたのは想像に難くないでしょう。如何にして本物の歯と同じ質感を再現するか、クライアントさんの欠損した歯を他の既存の歯と寸分違わぬ色味に再現するか…。私が長年幾度となく使い続けている「再現」という言葉を用いて語ってくれたTさんに、共感できないはずがありません。気がつくと、Tさんの信念やテクニカルな部分に関して私の「質問攻め」の状態でした。
そして僕が驚いたのはTTLが装着された一眼レフ機が登場した時です(画像左端にご注目)。メディア取材班以外でレフ機を持ち込んだ方はTさんが初めてで、工房内の作品達を美しく撮影して下さいました。僕もカメラには多少ウルサイほうなので、「写真お好きなんですか?」という問いにTさんは「患者さんの歯の色を再現するための資料として、写真のクオリティはとても重要なんです。医療用途に特化した機材はもっとスゴイんですよ」と、納得のひと言。
たまたま事情があって一時出戻り状態のアルゴノーツ変態T1仕様を撮影したプレビュー画面を拡大させながら「この作品、すごい情報量だ…」と溜息交じりのTさん。「いつかこれもお願いできるように、と先日アルゴノーツのキットを入手しました」とも。「ああ、Tさんもスゴク変態なんだナ」と安堵した瞬間です。
歯の色の再現に関する参考として見せて頂いたこの画像(本当はカラーでしかもかなり鮮明なものなのですが諸々事情を鑑みて加工しています)。Tさんはもともと模型づくりが好きで、モノづくりに携わりたいと工業系のお仕事に就かれたもののCAD等の「画面上のモノづくり」ばかりの日々に疑問を感じ、自分自身の指先のテクニックを活かせる世界として歯科技工士の世界へ飛び込まれたそうです(激しく納得・共感。もはや必然とさえ思えるストーリーです)。僕は近い将来T-STUDIOの活動とは別に「メディカル・アート」の世界を確立してやろうという野望がありますが(初めて公表)、その際に参考になるようなお話の数々を伺うことができてとても有意義なひと時でありました。ホビー用途では無く医療用途のレジンの取り扱いや特性、裏ワザ的なテクニック等々。腕利きの整形外科の先生と眼科の先生は既にT-STUDIOファミリーとして日頃支援下さっていますが、今回は「医療用レジンの使い手・色味の再現のプロ」です。心強いです。
最後に、話は遡ること5年前。東京でのイベントで声を掛けて頂いた同じく義歯のプロのTさん(偶然にも同じイニシャル)。あの日に頂いたドイツ製のサンプル集、今も大切にしております。もし今でもT-STUDIOの活動を見守って下さっていたとしたら、ぜひまたお便りを下さい。
初コメントいたします。先日はいろいろと有難うございました。群馬県の自分です(笑)
「OPプロップレプリカ眼球点発光仕様」いいですよねぇ。。。
自分も何度オークションを開いて入札しようか迷ったことか・・・(´・ω・`)
また機会があれば是非お願いしますね♪