トッツィー
2017.04.14
本当は今回のタイトルを「変態から変質者へ」として書き始めようとしてましたが、ふと我に返り2週間前に考えていた当初のタイトルとしました。「トッツィー」とは「tootsie」という綴りで、幼児語で「あんよ」を意味します。エンドアームならぬエンドフットとうそぶいているうちに、T-STUDIO内ではすっかり定着したエンドフットという呼称。しかし、もう少し軽く呼べるものはないかとあれこれ思索した結果、本日よりトッツィーとすることに決めました。ダスティン・ホフマンの名作「トッツィー」も同じスペルですが、そちらは「ネエチャン」といった意味を持ち、派生して娼婦とか売春婦とかのスラングとしても用いられるようです。ちなみに、「変態」と「変質者」については以下を(出典:デジタル大辞泉)。
■変態:普通の状態と違うこと。異常な、または病的な状態。
■変質者:性格・性質に異常があって、正常の人とは異なっている人。
見れば見るほどT-STUDIOのことをストレートに表現していて痛快です。
今さら何が変態かとか誰が変質者かだとかの説明は不要でしょうが、とりあえず画像から変態ぶりを感じ取って頂ければと思います。ほぼフルスクラッチ(ベースは由緒ある個体からの複製品)となるトッツィーこと「エンドスケルトンのアシ」です。無論等身大で、T-STUDIO初となる「全身エンドスケルトン製作」において、文字通り足もとを引き締める重要部品になるのであります。
宇宙船の某号にて掲載されていた足の裏の写真のキャプションには「宇宙船恒例、かゆい所に手が届く重箱の隅をつつくようなフォト“サイバーダインの足の裏”は本邦初公開!?」とありましたが、上の写真(の左側)はそれに次ぐ快挙なのではないでしょうか。
上の状態を眺めながら「元は液体(硬化前のレジン)とアルミパイプなんだよな…」と溜息交じりにウットリするT-STUDIOクルー(私とenoクン)。
[以下は、この製作の全てを担った榎本先生からの有り難い解説文となります。じっくりとご覧下さい。]
T1エンドアームを組んだ際は部品構成とムーブメントの解釈から入りました。縦・横だけでなく、数パーツをまたぐスラッシュな動きをするパーツがあったからです。動きを頭で構成するだけで相当な時間を要しました。T1エンドフットの場合はアームに比べて部品構成が比較的シンプルなので、ムーブメントの精査は一旦置いておき素直に形状の再現から入りました。本物通りに作れば同じ動きをする!考え方は脳筋アスリートです。
丁度あるスケールモデルの製作が終わり、もうすこし大きなモノがやりたいな、と思っていた時期でもあったので順調な滑り出しでした。 今回は機械加工も3D出力も使用しておりません。サイドショウやルーカスフランシススタジオ謹製のパーツを切り刻んだり、爪の一部やパイプこそ既製品を利用していますが、プロップサイズへの膨らましやメインシャーシなどはエポパテでの造形です。手削りのアナログ作業でどれだけエッジフルに造ってハタナカを驚かせるか、この一点に尽きるのです。
同一パーツが多く使われていて、「すこしは楽できるかな」なんて高くくってましたが、途中手に入れたプロップ画像を見て驚愕。各指でパーツの大きさと形状が違いました。某ブログ風に言うと (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル です。 「見てしまった、気づいてしまったからには必ず再現する」をモットーにしている私としては、嬉し恥ずかし朝帰り。やらなければなりません。 指それぞれのパーツサイズを割り出して原型を造り、特集な星形をした溝付き丸ナット、2個穴があるビス頭など、アイデンティティとなる意匠は全て再現しました。結果的に片足150パーツ構成と(いつもどおりの!)贅沢な仕様ですがその恩恵もあってすべてがフル稼働。土踏まず部分にあるワイヤーアクションも(おそらく!)プロップ同様に動作しております。本物同様に組んでいったら、あら?こうやって動くのねぇ と解った感じ。アームとは逆の工程ですね。指は各々独立して不思議なカム運動をするので楽しくてついつい動かしちゃいます。今年どこかで皆様にお見せしましょう。
惜しむらくは、成型の都合上オミットした足首の板バネ構造。いつか誰かやってくれるとイイなあ。いないわな。 そうそう、時を同じくしてT2エンドアームの全パーツ独立仕様のフル可動モデルも製作したので、その内ハタナカがココで紹介してくれることでしょう。更新のない間も実は忙しかったT-STUDIOでした。[T-STUDIO/eno]
トッツィーを使用したT1版エンドスケルトンのフルボディは、今夏にも京都の現代アートギャラリーにてお披露目となります。続報に乞うご期待。
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