あの頃に還った心境
2016.06.10
これまでエンドスケルトンの眼球レンズについてはコラムでも色々見解を述べてきましたし、実際このサイト内のあらゆる場所で資料に基づいた考察結果を掲載しています。レンズ自体に色が着いているか否かや、透明なのだ、いやスモークだとその時々で私自身の見解が変わるというとても厄介なテーマです。現時点で「眼球レンズ自体が赤い」というのが私の出した結論です。ただ、市販品のライフサイズバストにみられるような「鮮やか赤」ではなく、この写真のように「どす黒い赤」というか「血液のような赤」という感じで捉えています。
現在受けている製作事案の全てに使用することになる各種サイズのレンズの型にこうして調色したエポキシ樹脂を流し込み、眼球発光時のガッカリ要素になる「気泡」をいかにウマく抜くかを試行錯誤しています。アニマトロニックバスト制作時に編み出したはずの調合レシピとその使用材料ですが、悔しいことに当時メモなどを残しておらずただただ記憶だけを頼りに作業しています。今回のコレが硬化するのはおそらく来週半ばと見ていて、もしそこで成功と判断できたら即座にメモを、そうでなければ再び違う方法・違う材料でのトライアルとなります。
たった一人の工房で夜な夜な一喜一憂しながらこのような作業をしていたあの頃をふと思い出し、苦笑いやらため息やらで少しオカシクなりかけている私に「うん、ええツヤやな」と冷静にコメントしてくれる榎本隊長。一人じゃないって幸せなことです。
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