名古屋-川越-名古屋

前回の大阪納品時の表現でいくと「780キロメートル・41,460秒の旅」を終えてさきほど工房へ戻りました。疲労度はお察しの通りですが、今日の出来事を記憶が鮮明なうちに残しておきたくて、身体に鞭打ってこうしてキーボードを叩いております。

T-STUDIO ターミネーター埼玉県川越市某所。普段は応接に使用していらっしゃるという洋間に今回の納品物を仮設置し眼球の点灯確認と操作~メインテナンスの説明をした直後の一枚です。あまりにも絵になるのでいろいろなお話に花を咲かす前にパチリとやらせて頂きました。

実は今回のこの作品、名古屋-川越間を1往復半しています。補償が手厚く荷扱いも丁寧な「ヤマト便」の利用で送ったものの、後頭部シリンダに繋がる謹製ユニバーサルジョイントが破損して届いたため一旦名古屋へ返送して頂き、そして補修の後に私が直接納品することとなったのであります。保険がおりるからと言って、再び破損していようものなら双方これ以上ない悲しみに包まれてしまいます。それだけは避けたかった。

この作品の引き取り手となったSさんは、私がこれまでお会いしたコレクターさんの中では最年少。しかし平成生まれだからといって侮るなかれ。彼の言葉の端々からは「一級コレクター」の片鱗が感じられました。横暴で節操無し・低品質な某中華メーカーの名前やサイドショウのT-600が云々、ライフサイズが云々・・・と、なかなかどうしてよくご存知でいらっしゃる。モノの価値判断の確かさ、相場感覚の鋭さ、ブログをやっていない、一人こっそり眺めて愉しむ・・・という、私の知る一級コレクター氏たちに共通するものを彼は若くして備えていたのであります。しかも「T-STUDIOサイトは英語版時代からみています」という決定的事実。嬉しくなった私が、持参した資料や秘蔵写真群を彼に披露・解説したことは想像に難くないでしょう(岐路につくまえに、こうした一連の出来事を早速パートナーeno氏にLINEで報告。「それもこれもヤマトのおかげ」という言葉で締めたのは偽らざる本音です)。

DVD ターミネーター世間は「シルバーウィーク」という期間らしいですね(5月の「金」に次ぐ意味と、敬老の日を掛けたのでしょうか。よくわかりませんが、口にするのは恥ずかしい感じの響きです)。行きも帰りも見事なまでの渋滞禍。いつも僕は運転中には音楽やラジオなどは一切かけず、無音の空間で思索に耽ることが専らです。帰りの車中でも無音の中、しばらくSさんとの出会いを振り返ってあれこれ考えていました。でもさすがに数万秒も車内にいると息が詰まりそうになり、思わず常備している一枚の洋画DVDをスロットへ挿入・・・。「いやあよくできた映画だ」とは鑑賞中に思わず口から出たひと言。しまいには「もし僕が事故にでも遭って、最期に観ていたのがこの映画だとみんなに知られたら恥ずかしいな。アイツはやっぱり筋金入りの変態だと思われるな」などという独り言も飛び出す始末。とにかく、この映画があったからこそ今の僕があって、今の僕の周囲の人がいて、そして今日のようにあの青年コレクターと至福の時間を過ごせたのです。THE TERMINATORという映画に変えられた人生、そんなことを実感した帰り道でした。


彼のためだけに走った780キロメートル、生涯忘れられないものとなりそうです。Sさん、本日はありがとうございました。そしてまたいつか必ずお会いできることを願っております。

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