日本のみなさまへ
ターミネーターマニアの皆さん、当サイトへのご来訪ありがとうございます。全編英語のこのウェブサイトですが、管理人の私は名古屋市在住の正真正銘「日本人」です。ターミネーター、とりわけエンドスケルトンに魅了された “一介のマニア”でしかないのですが、好きが高じて完成させてしまったアニマトロニック・バストを世に発表するにあたり、「世界のターミネーターマニア」への挑戦状としてこの英語版サイトを制作するに至りました。
おそらく、このページに辿り着いた方はこのサイト内をあちこち彷徨ったはずです。「動くエンドスカル」の各バージョンや製作工程、エンドスケルトンの研究・考察などのページから、写真をご覧になっているだけもで私の狂信ぶりがお分かりかと思います。英語に長けている方の中には「いや、これはおかしい」とか「私はこういう見解だ」などどご感想が早速おありかと思います。一方で英語が得意でない方は「日本語版が見たい」と思われるかもしれません。
ただ、残念ながらいくつかの理由から今のところ「日本語版」の公開は予定しておりません。ライセンス面やターミネーター関連製品を発売している国内メーカーへの配慮などではなく、「ただなんとなく」というのが理由です。私の本業は「プロダクトデザイン」なのですが、絵描きの端くれとしては「エンドスケルトンと日本語が、どうもビジュアル的にマッチしない」という見解があります。正確には「エンドスケルトンの写真はアルファベット以外の文字で装飾したくない」というところでしょうか。狂信的な見解をつらつらと並べたこのサイトは「読み物」としての性格を持ちながら、各ページがそれぞれ “一枚の絵”として機能する「ギャラリー」的要素も込めているのです。
もちろん、心のどこかでは「私と同じ日本のターミネーターファンに日本語版をじっくり読んでほしい(楽しんでほしい)」という気持ちはあります。M1号代表・西村祐次氏、飛騨高山の留之助商店オーナー・中子真治氏、またハリウッドコレクターズギャラリーの胸組輝明氏のインタビュー記事(準備中)などは、日本の皆様に読んでもらってこそのものだと解っています。日本語のネイティヴスピーカーである以上、もちろんこのサイト内の文章はすべて日本語版の原稿があり、少しの時間をかければ日本語版の公開が容易なのは事実です。ただ、上記の理由から当面日本語版サイトは公開する予定はありません。ですから「日本語版ページが見たい」であるとか「日本語訳がほしい」というリクエストはどうかご容赦下さい。時期が来たら(気が変わったら)必ず公開致しますので・・・。
- ホームページを全ページ日本語化しました。トップページはこちら。
T1版エンドスケルトンへの想い
「動くT-800」の動画はご覧になって頂けたでしょうか?サイト内を巡って頂いてお分かりの通り、「M1号のキット」を素体にしてメカニズムを組み込み、制御盤も自前で作りました。念頭に置いたのは「動くT-800を作る」ではなく、「T-800を動かす」というテーマです。この微妙なニュアンスが伝わりますでしょうか?
私はまず、プロップに忠実でなおかつ細部にまで手を抜かないエンドスカルを仕上げることに没頭しました。数あるソフビの難点には目をつむり、エッジのシャープさや側頭部メカ(通称:ゴチャメカ)の造形の美しさから迷わずM1号キットをベースとすることに決め、ディテールの追加、また付属物(後頭部シリンダーや耳下から伸びるオイルライン接続部品など)の製作、またプロップに忠実な頸椎(首)部品の新造を経て「世界で最も美しいエンドスカル」を目指したのです。
ひとくちに「プロップ」と言っても、1作目のエンドスケルトンだけで数種類、シリーズ全編を通じると何十種類というエンドスケルトンが存在するため、私は「1作目の終盤」、いわゆる “Factory chase”のシーンに登場するエンドスケルトンに的を絞り、細部の製作の参考としました。頸椎中央に走る溝、レンズ内部が均一に発光する眼球、後頭部シリンダーの付け根の処理など、皆様ならお判りになるポイントでしょう。
このサイト内でも英文で言及していますが、1作目終盤の工場でのエンドスケルトンは、シリーズ中唯一の「現代世界で暴れるエンドスケルトンの姿」であり、何より「もっとも恐ろしい」ことから私はあのシーンのエンドスケルトンが大のお気に入りなのです(サラ・コナー クロニクルズでの「風呂場のシーン」や「サラの悪夢のシーン」がありますが、あの作品はあくまでスピンオフとして解釈しています。ほとんどCGですし、T-888ですし)。ライセンスの関係から、現在までに市販されているエンドスカルは全てT2版であり、眼球レンズ内部はリフレクター状の「複眼パターン」があり、頸椎中央に溝はなく、また後頭部シリンダーも各社独自の解釈で製作されています。いよいよ「大好きなT1版エンドスケルトンがこの世に無い以上、自分で作るしかない」という図式が生まれたのです。
「T2」のロゴ入りのメカニカルな台座や、赤ではなくオレンジに発光するレンズなど、市販品への不満は全て私の作品で解消したつもりです(「歯」だけはアイコン版に叶わないので、今後の課題ですが・・・)。M1号のスカルの原型は1作目のものである(西村氏のインタビュー参照)ことから、まさにうってつけでした(もちろんM1号キットをチョイスした理由は先述の通り「美しさ」もあります。アイコンのエンドスカルは頭部形状がダメ、SIDESHOWやハリコレ版は「量産品ゆえのエッジの甘さ・メッキやペイントの粗さ」があるという中で、状態の良い型から抜いた原型を元にパネルラインなどの機械的なシャープさのみをリファインしたM1号キットは、素体としてこれ以上ないものだったのです)。
「暴挙」の背景とバージョン1.0
果たして完成した「T1版エンドスケルトン」ですが、「動かす」という暴挙に出た経緯についても少し説明しておきます。
いまこの拙文にお付き合い頂いている方の中には(おそらくほとんどが)1/1サイズのバストをお持ちかと思います。私もアイコン版からXFX STUDIO版・SIDESHOW版・ハリコレ版と一通り所有しています。我が家に初めてT-800がやってきた日はその存在感に驚き、「ダダンダンダダン」などと言いながら眼球ライトアップギミックを楽しみ、写真を撮り、部屋のライティングを替えてはあらゆる角度からニンマリ眺めたものです。でも「それだけ」なんです。皆さん、ぜひその部屋にあるT-800を改めて眺めてみて下さい。そして想像して下さい。もしそれがこちらを向き、睨みをきかせてきたら、と。
そう、この「ただの重たい置き物」が、もし周囲を見回してターゲットを探す “Factory chase’ のような挙動をしたら・・・、という単純な発想から私は長い旅に出ることになったのです。
シュワルツェネッガーの骨格を元に人間のそれを忠実に模したとはいえ所詮はムービープロップ。構造的な無理や矛盾が随所に見られ(1作目の終盤、下半身を吹き飛ばされたT-800がサラを追うシーンにおいては、後頭部のシリンダーは外されています。あれが付いていたら「あの姿勢」が取れないためです)、「動かすこと」が考えていたほど甘くない事を早い段階で痛感することとなります。しばらくは「動かす為にはエンドスケルトンのシルエットを崩さねばならず、シルエットを死守しようと思えば可動範囲が取れない・・・」という葛藤の繰り返しでした。しかし、動かすことを優先するあまり、エンドスケルトンのシルエットを崩したのでは全くの興冷めであり、私を含めた「目の肥えたマニア」が納得する訳がありません(アニマトロニック・バストが形になった上で、私は世界のマニアに発表する計画を抱いていたため、当初より「マニアの目」は強く意識していました)。かくして「造型上のシルエットをいかに崩さず(犠牲にせず)可動範囲を広げるか」を念頭に完成した「アニマトロニック・バスト・バージョン1.1」では、サーボを2ch使用した「首を横に振る・縦にうなずく」という2軸の動きを再現するに至ったのです。
叩き台として完成させたこのバージョン1.1には、いくつかの不満点がありました。「可動範囲が狭い」、「動きに安定感がない」という点に加え「動作音がうるさい」という点です。可動範囲については、先述の通り「シルエットを死守した代償」であり、また安定感の無さ・動作音は機構そのものの問題である事が明らかでした。プロップの再現を含め、約1年の歳月をかけて完成したバージョン1.1/1.2は、いわゆる「失敗作」であり、眼球可動機構を備えたバージョン2シリーズ製作を前に全ての設計を白紙に戻す結果となったのです。
納得のいくものを求めて
バージョン1にて得た教訓を元に、念願の眼球可動機構を備えたバージョン2.0が完成した時、構想から2年の歳月が流れていました。頸椎がヨー方向に回転する機構もプラスし、「人間らしい生々しい動き」が再現できたのではないかと自負しています。経過については割愛しますが、「結果」についてはサイト内の動画から皆様にも伝わることと思います。頭部の動きに連動して伸縮・回転するボールジョイント方式の後頭部シリンダーの挙動や、耳下から伸びるオイルラインが追随する様は、製作した私自身も「ニンマリ」してしまう出来です。CGを多用した3作目以降は別として、2作目までに製作・使用されたムービープロップのアニマトロニクス技術は凌駕したと確信しています(手前味噌は本意ではないので、あとの評価はみなさまにお任せしたいと思います)。
納得いく動きが完成するや否や、「制御系」にちょっとした遊び心を持たせています。初期バージョンでは「電源・シーケンスの2種切り替え・スタート」の3種だった操作系に、リモコン制御やモーションセンサーを追加しました。動画撮影の際に楽だからとリモコン制御を導入し、客人を驚かせたいからとモーションセンサーを搭載したのです。モーションセンサーを起動している状態では眼球は常時発光しており、留守中に置いておけば立派な「番犬」代わりになります(もっとも、動きや動作音で威嚇するだけですが)。アニマトロニクスによるダイナミックかつ繊細な動きを見てもらいたいという反面、エンドスケルトンの持つ本来の造形美や、T1版エンドスケルトンの恐ろしい雰囲気、またそれを再現した細部の造り込みをじっくり見たい(見てもらいたい)という観点から、「眼球のみ発光」のモードも追加しています(「目が光るだけなんて嫌だ」という当初の思想を考えれば、なんとも本末転倒ですが)。
今後は、カメラを搭載して、エンドスケルトンの視点をアンドロイド端末でモニターしたりしてみたいな、などと考えています。テーマ曲や未来戦争を想起させる音声ギミックは付ける予定はありません。絶妙な「キュイーン、ジージー」という動作音を邪魔したくありませんので。
国内の同志・諸先輩方のために
ところでこのサイト、全編英語ではございますが日本の皆様はどうのような感想を持たれましたか?「変態だ」とか「狂信的だ」と表現してもらえたらそれは私にとって最高の賛辞です。「この人もターミネーター大好きなんだな」と感じてもらえたら、それはまさに大当たりです。冒頭でも述べましたが、このサイトは本国アメリカの猛者達へ発信する「日本のターミネーター偏執狂が叩き付ける挑戦状」のつもりです。「ヤッパリニッポンジン、ヘンタイデース」と言わせたい一心のコンテンツ群なのです。アニマトロニック・バストはもとより、エンドスケルトンの考察も、コレクションの批評も、写真もすべて、「変態パラメータ振り切る寸前状態」にまで気分を昇華させて製作・執筆・撮影しました。
シリーズ通しての興行収益的に見れば、日本のマーケット(ターミネーター熱)が世界有数なのは周知の通りです。特撮やアニメーション・演劇等の娯楽面での文化的成熟度がきわめて高く、物事の機微を繊細に解することができる我々日本人に、このキャメロン監督の偉大な作品がウケない訳が無いのです。妥協を許さない特殊効果から、破綻のない脚本、キャストの緻密な演出まで、「単なるSF」ではない事を私たち日本人はよく知っています。プロップレプリカのコレクションを紹介したブログや、そこに寄せられている同志達のコメントを見ては「やっぱり日本のマニアは深いなあ」と感心し、ヤフオクでタイムレスのエンドアームやSIDESHOWのPFエンドスケルトンが高値落札される様子を見ては「みんな好きだなあ」とか「解ってるなあ」とニヤけてしまいます(日本の特撮プロップに造詣が深いM1号の西村代表も、話してみると相当なTファンで「凄いプロップ」を多数お持ちですし、氏を師事するなべやかん氏のターミネーターへの想いも並々ならぬものがあります)。
T2を劇場で観た中学3年の冬の日(ロングラン上映で92年1月頃まで上映していた為)。翌日にはツクダの1/6バトルダメージシュワの眼球に光ファイバーを仕込んでいました。暗がりで点灯させては狂喜していたのですが、あの日の興奮は決して冷めることなく20年近くの歳月を経て今日まで来ています。このサイト公開をきっかけに、国内の変態さんたちと交流できるかと思うととても楽しみです。「眼球レンズは、光ってないときは赤くないんだ」とか「やっぱアルゴノーツのエンドスケルトンは変態だよね。足がちょっと長めだけど」などという会話が成立する関係、日常ではまず出会えませんから。
みなさまからのフィードバック
サイト本編の「About us」のページ内の一部の英文そのものと、和訳を掲載致します。
T-Studio is not a company, but “an ensemble of my beliefs, ideas, concepts, visions,” and this “website” is a means of expressing or materializing that. If you wish, I will accept any build-to-order requests worldwide. But the core objective is to build this website into a full-fledged website offering comprehensive information about the Terminator, especially the Endoskeleton, from discussing movie props to introducing Terminator-related goods. My goal is to create a website that people would think first about to search for information about the Endoskeleton. To do that I need everyone’s help. If you own any movie props or related products, or want to share any great experiences, please send me your photos and stories. And any comments, constructive criticism, or if you have found any mistakes in the website or have different opinions, please feel free to send them to me as well. By complementing each other I want this website to evolve together with the Terminator fans worldwide.
(T-STUDIOは、この「ウェブサイト」と「私の信念」そのものであり、会社組織ではありません。ご希望とあらば、皆様からの製作依頼も受け付けますが、あくまで本体はこのウェブサイトなのです。ターミネーター、とりわけエンドスケルトンに特化した総合情報サイトを目指しており、関連商品の紹介からプロップの考察に至るまで、あらゆる情報をここに掲載したいと考えています。「エンドスケルトンに関する情報ならばここを見れば何か見つかる」と評されるようなサイトを目指します。そのためには、世界中のみなさまの力が必要です。皆様が所有する貴重なプロップやエピソード、また関連アイテムなど、ぜひ当サイトまで画像やコメントをお寄せ下さい。そして「ここの記述が間違っているのではないか?」とか、「私はこう考える」といったようなご意見・ご批判・ご感想も大歓迎です。足りない部分を互いに補完し合いながら、世界中のターミネーターファンとともにこのサイトを進化させていきたいと考えています)
皆様からの熱く変態的なお便り、心よりお待ちしております。